■憂国
|
相矛盾する二人の武蔵 新免武蔵(キャリア)/岡本武蔵(ノンキャリア) 日本浪漫派の最後の二人 三島由紀夫と五味康祐にも 見ることができる
三島由紀夫(本名平岡公威{きみたけ} 祖父→初代樺太庁長官 父→農林省局長 公威 学習院〜東大〜大蔵省キャリア
五味康祐 大阪灘波の映画館の息子 明治大在学中 陸軍に召集 その後 辛苦をなめながら筆一本で生きてきた
さて 本題 『柳生稚児帖』 三島の死から三年後に書かれた
五味は多くの時代小説を書いてきたが 刀そのものに強い執着をみせたのが『柳生稚児帖』 攘夷と開国 いい変えれば伝統と近代の相克を踏まえて 日本浪漫派の命題 「日本とはなにか」の問いに対する答えを この小説で示そうといた しかし この面白すぎる長編小説に仕上げてしまったため 五味の読者には届かなかった 三島の死から三年後に書かれた
長編五十一章 十九章に当たる「侠客」 慶応四年 品川沖から脱走した旧幕府軍隊 房総沖で台風に遭い 威臨丸は清水港に漂流 駐屯の官軍に攻撃され搭乗員は敗死 その屍体は海に投げ捨てられ葬る者はいない 清水の侠客次郎長 旧幕府軍の死者を収容し 手厚く葬った
五味 次郎長に こう云わす 「(幕府から明治維新)それで本当にまっとうな世の中になったと言えるのか そんな疑念がふと次郎長の胸の中をかすめた」
1945年 敗戦 戦後民主主義を唱える文化人から保田与重郎『日本の橋』 伊藤静雄『わがひとに与える哀歌』も 一切が否定され 抹殺されたことへの思いが重なるのであろう
五味の内なる思いを憂国といわずしてなんと呼ぼうか
−−−−−−★−−−−−− 『ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ』 (原題: Mishima: A Life In Four Chapters) 先の「第38回東京国際映画祭」にて日本初上映
2025/11/21(金)  |
|