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天にも昇る氣分


斎管 母の云いつけ通り 心を尽くしもてなす
朝には狩りに出し 夕刻 狩りの帰りがてらに
皆が近寄りがたい斎管御所に
男だけ寄らせ  手厚くねぎらつた

馴初{なれそ}め 
【馴初め】→恋愛関係に入る
時間の問題 二日目であつた
二日目の夜であつた
男 「逢ひたい(密会したい)」
驚天動地{きょうてんどうち}のひと言
女(斎管) 顔色も変へず 拒む様子もない

男 部屋に戻る
「来るだらうか」
男 胸高鳴り氣が氣でない

男 <使ひ>の主役であつたので
宿も斎管御所の寮からさほど遠くない外院
斎管の寝間からも近かつた

外の方に身を乗り出して横たわつてゐると
月もおぼろな光のなかに
幼げな童を先に立たせ 誰かが立つてゐる
斎管 人を寝静まらせてから 
子{ね}一つ(午後十一時ごろ)
男のもとに来たのであつた

男 天にも昇る氣分
嬉しさのあまり 男 女を抱きかかへ
自分の寝床に連れ込んだ

子一つから丑{うし}三つ(午前二時ごろ}まで
逢瀬 またたく間に過ぎた
まだ互いの胸中を話しきれないうちに
女 斎管御所の寮に帰つてしまつた

さて この逢瀬
ヤッタか ヤラなかつたか 

ヤッタか ヤラなかつたか
それは 翌朝の女からの手紙にあつた

天にも昇る氣分 とは
ひとの一生で何回ぐらいあるものであらう
中學三年のとき
歩いていても 足が地についてゐない
空中を歩いているようだつた

残りの人生
もう一度 あつてほしいものだ
ないか
2023/04/27(木) 晴れ


イイところも ワルイところも


六十九段
「むかし をとこ ありけり」の 例の貴公子
鷹狩りの腕 見込まれて <狩の使ひ>

旧暦十一月以降 豊明節会{とよあかりのせちえ}を含む
新嘗祭がらみの朝廷行事 目白押し
供へ物や宴に多くの獲物がゐる

都だけでは まかなへない
<狩の使ひ>は獲物の集まる国へ出かける
一人ではない 役人数名と鷹飼{たかがい}らほか
鷹 数羽 鷹犬 数匹

この貴公子 指示された国 伊勢國
なんと 伊勢神宮 斎管{さいぐう}
貴公子の親友 紀有常の姪だつた
有常の妹 文徳帝の更衣 更衣 寝室も共にするときも
で 有常の妹が生んだ子 
皇女恬子{やすこ}内親王
斎管になつていた
斎管 神殿での くじ引で選ばれる

在原業平
有常の娘と結婚 ふたりの間に子がゐる
つまり斎管 妻の従姉妹となる

ともあれ
斎管 都の母から
「ほかの使ひの者よりも あの方を格段にもてなしなさい」

都の母 業平のことよく知つていた
イイところも ワルイところも
皇女恬子{やすこ}内親王も
イイところ ワルイところ
知つてゐたはずだ


日本ハム 新庄監督
選手たち/ファンたち
イイところも ワルイところも 見えてきた
2023/04/26(水) 雨


サスペンス


『伊勢物語』
伊勢物語 足らしめたのは
六十九段と云つてよからう
最大の背徳サスペンス

TV四月ドラマも サスペンス盛りとか
“カルト集団”スキャンダル 拡散にばかり汗かいた
某野党 今選挙 惨敗
選挙民 スキャンダルよりサスペンス お好き
肝に銘じておかれよ
無駄話 このへんで 

主人公 また手の届かない女に恋をする
手の届かないどころか 天上のひと
このサスペンス 
センセーショナルでパッケージされた

主人公の恋の相手
伊勢神宮 斎管{さいぐう}
未婚の皇女(内親王)からしか選ばれない
帝の代理とし神にお仕へする 唯一のひと

斎管に選ばれた その日から潔斎{けっさい}
肉 魚は当然 魚介、卵などもダメ
日々 沐浴で心身を清める

斎管の勤めが終わるのは
帝 御代替はり

元斎宮となり 結婚するのは
帝か 皇族
それが臣下の者と結ばれるわはけはない
前代未聞のセンセーショナル

『伊勢物語』
なぜ 伊勢物語とタイトルつけられたか
数多ある写本の中で
六十九段 一番 頭に入れてゐるものがあつた
伊勢神宮 斎管との秘め事
前代未聞のセンセーショナルなゆへ
『伊勢物語』となつた
2023/04/25(火) 薄曇り


信頼感


高名なF1ドライバー インタビュー記事
チャットGPT使つての
架空インタビューだつた
F1 告訴
掲載誌編集長 バレて即 クビ

『伊勢物語』
在原業平 主人公に据ゑ
業平の和歌(短歌)を芯にして
虚実 こもごもの恋物語
享年 五十五
あるいは老年の寂しく 
して円熟に老いていく物語

業平自身 書いた箇所
業平の心情 入力した
“チャットGPT”使つて 
誰かが書いた箇所
さらに
写書されていく中で
彫琢{ちょうたく}
詩文の字句に磨きをかかったやも知れぬ

業平 告訴した気配なし
当時の貴族が共有してた
歌に対する共生感 
いや信頼感と云つた方がよい
業平 告訴しなかつたはけ

平成五年 いまの世での共有する信頼感
三、大谷翔平
二、低い投票率でもその選挙結果
一、…………

さて 貴殿 一に何を選ぶ
2023/04/24(月) 曇り


三十一字{みそひともじ}


TVなど ボケつと観てると
記憶の引き出し ポット 開{あ}く
歳 食いすぎた ゲップみたいなものか

あるドラマ ワンシーン
記憶の引き出し ポット 開く

むかし付き合つてゐた 男女
撮影所で バッタリ
女 「いまなにやつてゐるの
   これつて子供向き番組でしよ
   わたし 文部省推薦ドラマやつてるの」
男 「…………」 沈黙

男 ゴジラ 制作助手
ゴジラ のち世界へ進出
世界の“アイドル”に巨大化

『源氏物語』 世界 三十二言語に翻訳
『伊勢物語』 イギリス スペイン ドイツ語 支那語…………
       そんなもんか

『源氏物語』 恋 物語 
『伊勢物語』 恋 物語であるが物語添え物
主役は短歌
ガンジンさん 五・七・五・七・七
よくわからない 致し方ないか

いまの世 短歌ブームとか
SNS 若者けん引
五・七・五・七・七 三十一字{みそひともじ}
ちょうど良い長さ
男が女い 女な男へ想ひを込める

在原業平
草葉の陰で云ふ
あれは短歌でない
匂ひも色も比喩も無い
たんなる字面あわせ
なんでもかんでも
記念日にすれば いいつてもんぢやない
2023/04/23(日) 晴れ


いままでとは違ふやり方


傘張り浪人 中学生のころだ
先生の こんな教へ方では
俺の能力 育たない

専門 理論天文学 宇宙論
ひと回り以上歳下 名古屋大学総長 杉山くん
チャットGPT 出現
「教へ方 いままでとは違ふやり方が求められてゐる」


在原業平
父系 平城天皇の孫・桓武天皇の曾孫
母系 桓武天皇の孫

天長二年(825) 生まれ
大宝律令 制定 一二四年後 
在原業平 平城京への遷都 一一五年後  
日ノ本 政{まつりごと} 唐風に染まり切る

薬子{くすこ}の乱
桓武天皇の子 平城上皇⇔嵯峨天皇 兄弟喧嘩
平城上皇 破れ 出家
皇統が嵯峨天皇の子孫へ移る
業平 父・阿保親王 臣籍降下
業平 兄・行平らと共に在原朝臣姓 名乗る

業平 教わり方 
いままでとは違ふやり方が求められてゐた
≪唐風に染まるな≫

紫式部へ継がれていく
『光る君へ』
わかつてゐるかな
光源氏に 「大和魂」と云はせたはけが
2023/04/22(土) 晴れたり曇ったり


禊{みそぎ} と 祓{はらえ}


六十五段
伊勢物語 一番長いハナシ
初恋のひと(女)との その後の
哀しみに満ちたロマンス

「むかし をとこ ありけり」の男
関係をつづければ 互いの人生 ダメになつてしまふ
にもかかわらず 恋心 捨てきれない

で 陰陽師 巫{かんなぎ}を呼んで
「もう 恋はすまい」と祓{はらえ}をした

祓をしたものの 
いつそう 女への愛しさがつのる
で 詠んだ

【恋せじと 御手洗{みたらい}川にせみそぎ
神はうけずも なりにけるかな】

《もう恋しまひと思って  御手洗川で禊{みそぎ}した
その願ひを 神様は叶えてくれなかつた》

このハナシ 後年 尾形光琳ら画家たち 好んで描いた
哀しみに満ちたロマンスに グッと来たのだ
 
祓 禊 
交互に出てきた
「むかし をとこ ありけり」の世では
祓と 禊 分かちがたい一連のもになつてゐるが
元々は 別もの

祓→ 罪を犯したり 穢れに触れたため 
   それを つぐない 除去しようとするもの
禊→ 大事をなすための心身の充実を図る行為
   滝に打たれるのがさうだ 水で清める
 
祓→ つぐないのため 何か物を代償として提供する
高天原で天つ罪を犯したスサノウ 
そのつぐないのため 一切の所有物を祓つ物として没収
それでも祓へ切れず 高天原から追放
下界をさまよってきて 八岐大蛇を退治し 宝剣を得て
つぐないが完了

禊→ イザナギがアマテラス ツキヨミ スサノオの三神
   生むとき聖なる水をもつて身をそそぎ 心身を充実させる

折口信夫 説
古くたどれば「祓」をする種族と
「禊」をする種族とは別であつたが
永いときをかけて融合していつた

傘張り浪人 説
祓 「払う」に展化していつた
2023/04/21(金) 晴れ


武道通信かわら版 配信日


世界的に権威ある 写真コンテスト
AIでつくつた作品 最優秀賞
出品者 賞 辞退
AIはヒトを幸福にするか ヒトを不幸にするか

AIと宮本武蔵 考へてみた

2023/04/20(木) 晴れ


女官


六十四段
要約
≪主人公 少々気になる女がゐた
宮中のどこにゐるか 知りたかつた≫
だが 女官たちのいるのは局{つぼね}
簾{すだれ}や几帳{きちょう}で仕切られ
外からは様子は見えなかつた
で 主人公 簾や几帳の前を歩きながら
歌を詠んだ

【吹風{ふくかぜ}に わが身をなさば 玉すだれ
ひまもとめて いるべきものを】
≪わたしが吹く風になれたら 玉すだれ(簾の俗語)の
隙間を探して入つてみるだろうに≫
(女官は暇なんだね 私が風になれたら
暇をつぶしに玉すだれの中に入つてやるよ)
こんな皮肉 込められてゐる

誰だかわからぬが 中から返事があつた
【とりとめぬ 風にはありとも 玉すだれ
 たがゆるさばか ひまもとむべき】
≪取り押さえるほどでもないが
玉すだれの隙間からなんて発想 誰が許すものですか≫
(私たちが暇だなんて失礼な
とりとめもなくぶらついてゐるあなたこそ
お仕事にお励みなさいませ)

怒るというより苦笑しながら返してきた
暇を持て余して 女探しをしている主人公を
余裕ある上から目線

宮中の女官のみの部署
内侍司{ないしのつかさ}
「女官」 と云つても いろいろある
この歌を返した女官 どのへんの位であろか
bP長官 bQの典侍{ないしのすけ/てんじ}でもあるまい
典侍 平安中ごろには 天皇の皇后 典侍から選ばれた

その下に女蔵人{にょくろうど} 女孺{にょじゅ}
百名近くいた その中の一人であろうか

官職でない女官に「女房{にょうぼう}」がゐた
語源 彼女らにあてがはれた専用の部屋に由来
宮中で仕える“お手伝い”さん
女房の一人やも知れぬ

女房も
天皇に仕える「上の女房」とか 位もさまざま
紫式部も女房であつた
仕えたのは 一条天皇の皇后・彰子
家庭教師も兼ねた「宮の女房」

紫式部 「宮の女房」の合間に
『紫式部日記』『源氏物語』 脱稿してゐる
女官 やつぱ 暇だつたのではないか
2023/04/19(水) 晴れ


どこかの誰かが


百年{もゝとせ}
漢字の百から 「一」字とると <白>
引くと九十九となることから
白髪のお年寄りのたとへ

主人公の男
在原家五番目の中将
在原業平であるが 
実在の業平とは無関係

伊勢物語で業平人気 高まり
粋な男 婆さんを抱いてやった男 
業平になつた

写本されていく中で 
どこかの誰かが 在原業平にしてしまつた

『源氏物語』 紫式部の原本はない
四、五年前か 藤原定家が書き写した写本
見つかつたと大騒ぎ 「若紫」の章だけだが

『平家物語』にも原本はない
作者に有力候補はゐるが
合戦が本格化した世は治承{じしょう}
『治承物語』とて書かれたらう

語り語り継がれるうちに
平家の悲哀が重きをなした
タイトルも後世につけれた 
どこかの誰かが

『葉隠』だつて 
原本は残されていない 
写本されていく度に どこかの誰かが 手を加へる

露⇔宇戦 戦況
どこかの誰かさんたちが 書いてゐる
2023/04/18(火) 晴れ


灰になるまで


ひと昔 前
週刊誌 読者高齢化で打つた企画
≪死ぬまでセックス≫
賣上部数 右肩上がり

六十三段
≪死ぬまでセックス≫のハナシ
爺さん でなく 婆さんだ

婆さん 夫はすでに他界
婆さん どうしても もう一度 セックスしたかつた
婆さん 三人の息子に 夢のハナシだとして
粋{すい}な男をセックスしたと
二人の息子 「ババカ云つてんぢやないよ」
三番目の息子 「その夢 きつとよい男が現れる正夢でせう」

三番目の息子 粋で噂高い 
在原家五番目の中将に願ひい出る
中将業平 願ひ聞き 某男をあてがふ
男 婆さんの家に來て セックス

その後 男が逢ひにこなかつたので
婆さん 男の家に出かけていつて 
外から覗き見してゐたところ
<百年{もゝとせ}に一年{ひとゝせ}たらぬつくも髪
 われを恋{こ}ふらし おもかげに見ゆ>
「百年に一年足りないと云ふ九十九{つくも}
そのつくも髪(白髪)の老女が 
私を なお恋焦がれてゐるにちがひない
それで幻となつて眼の前に現れた」

と云つて 婆さんに逢ひいにでかけようとするのを見て
婆さん 大急ぎで家に帰つて 寝たふりをしてゐた
男 こつそり家の外に立つて様子を見ると
婆さん ため息をついて
<さむしろに衣かたしき こよひやも
 恋{こ}しき人にあはでのみ寝む>
「むしろのうへに自分の着物を敷いて
今晩もまた 恋しい人に逢わないで
寝なければならないだらうか」
と歌を詠んだので 
男 しみじみいとしいと思ひ その夜 家に入つて
婆さんとセックスしたのだつた


大岡越前守 ある事件から母親に訊いた
「女 いくつまで性欲があるのですか」
母親 黙つて火鉢の灰をかき回した
要は 灰になるまで
大岡越前守 そうか やっぱり犯人は…………
このハナシ 出典 不明
講談のたぐひであろう

談余:
某女性研究者 日ノ本で初の老人の性意識調査を実施
60歳を過ぎてもセックスを望んでゐる
男 40%  女 2.4%

某女性研究者 女はコノ手ハナシ 嘘をつくこと知らなかつた
いや 某女性研究者 知つてゐたやもしれぬ
灰になるまで と
2023/04/17(月) 曇り


朧月夜{おぼろづきよ}


早朝からの雨で 黄砂も一息か
*きのふ UPし忘れた


『伊勢物語』の世にも
黄砂 飛んできた

いまの世みたいに
洗濯物・車汚れる 眼がかゆい 喉が痛い
などなど右往左往{うおうさおう}しない

『伊勢物語』の世
黄砂を花鳥風月で包み込んだ
春霞 朧月夜 黄砂が因

黄砂 「日薄食」「月薄食」と呼ぶ
日食や月食とは区別されてゐた

王朝文化 衰退
『吾妻鏡』 「泥の混じる雨降る 希代の怪異なり」

江戸の世 「土降る」で霾{つちふる}
芭蕉 日記に霾 出てくるが
俳諧に「黄砂」の季語無し

黄砂 春の季語のなるは近年
黄沙降るはるかとなりし旅ひとつ  林十九楼
机上なる本の黄沙に指のあと 上野正子

黄砂を花鳥風月で包み込みはしないが
日常に包み込み込んだ

日々の暮らし 常である
 
2023/04/16(日) 晴れ


袖の匂い


【むかし をとこありけり…… 】

「朝廷に勤める ある男
一時 ある女を妻としてゐたが 宮仕えが忙しく
互いに大して好きでもなかつたので
女 別に心から大事にしてくれる男ができて
新たな男について失踪
別の地方に去つてしまう

あるとき 朝廷の男 
勅使とし 宇佐神宮へ赴いたとき
元妻が勅飼の接待担当役人の妻になつてゐると聞き
奥さんに盃をさせてください さもないと飲みません
しかたなく 元妻 盃をした

勅使の男 
酒肴として出ていた橘{たちばな}(柑橘系果物)を取り
<さ月まつ 花たちばなのかをかげば
 むかしの人の そでのかぞする>
 (五月に咲く橘の花の香をかぐと 
昔おつきあひした女性の薫{た}きしめた
袖の匂いを想い出します」)
と云ふと
女は勅使が元の夫であると はつと気づき
出家して山に入つてしまつたさうだ」

なにも 大して好きでもなかつた元夫
出家することないのに
なにが彼女を さうさせた
おわかりか

元妻 袖に薫{た}きめていた香り
元夫への妻としての香り 
夫婦としてのアイデンティティ
当時の人に「香り」への念{おも}ひ 
いまの吾らにはわからぬ

NHK『光る君へ』
「香り」 どう表現するのか
TV 香り しないから
どうでもいいと 思つてゐるか
2023/04/14(金) 晴れ


雑草

   
雑草と云ふ草はない→ 牧野富太郎

「雑草を刈りました」 侍従の言葉
返して 昭和天皇
「雑草と云ふ草はない どんな植物でもみな名前があつて
それぞれ自分の好きな場所で生を営んでゐる
人間の一方的な考え方で
これを雑草として決めつけてしまふのはいけない」

草結びの草 生えなくなつた わけ
「雑草」と云ふ言葉 つくつてしまつたことからか

五十段
浮気を責め合ふ 男と女の非難の合戦
いまの世           
離婚理由 「性格が合はない」 
男女ともトップ    
恋と性格 関係無いか

五十段の男と女
性格が合はなかつたのか

いや(否・嫌)と云ふ性格はない
どんな人間でも みな性格があつて
それぞれ 自分の性格で 生を営んでゐる
2023/04/13(木) 晴れ


草結び


四十九段
年頃の妹に 主人公 詠む

【うらわかみ ねよげに見ゆるわか草
  ひとのむずばむ ことをしぞ思ふ】
「若々しいので 根も立派にみえる若草を
よその人が草結びにするかと思ふと
幸せであつてほしいと思うのだよ」

古{いにしえ}も 遠い古 
草と草とを結ぶことを <草結び>
割と新しい古の 簡素な小屋を作つて住むことではない
<草結び> 縁起を願うオマジナイ
旅路の無事 事始めの幸運
そして男女の和合も云ふ

婚期を迎へた妹への からかいともなつてゐる
【初々しくて 寝よげ <肌を合わせても心地よさそう>
な若草<若さあふれるわが妹>を
よその人が結ぶ<妻にする>かと思うと
大人の女になる<事始めの>ときが來たかのかと
<複雑な思になるよ>】

妹 恥じらい とぼけて返す
【はつ草の などめづらしきことのはぞ
うらなく物を思{おもひ}ける哉】
「はじめて見るこの草は
どうしてこんな葉なの?
<初めて聞く兄さまのおなしな言葉は>
わからない
私ときたら 昔と変わらず
裏表なく物事を考へてゐただで…………」

この妹
千余年後の
生涯未婚宣言 女の始まりであつたか
縁結び神社
参拝者 減つて困つてゐる
口には出せず困つてゐる
いつそ 別の神様にしようか 迷つてる

近年の独身 男 女
なぜ結婚しないのか
草結びの草 生えなくなつたのか
2023/04/12(水) 晴れ


魂との出合ひ


♪めぐるめぐる季節の中で
新学期四月 出会いの季節

古{いにしへ} めぐるめぐる季節の中で
魂の出合いの季節 その一
水無月晦日{みなずきみそか}
六月晦日 大祓{おおはらへ}(大掃除)して
先祖の魂を迎へる魂祭{たままつり}
*中世のころから輸入品・仏教に盂蘭盆{うらぼん}に

一年の終り 師走晦日の大祓
山野から摘んで来て精霊棚{しょうりょうだな}に飾つた
盆花{ぼんばな}に迎へる魂
門松を立てて正月棚に迎へる新年の魂

めぐるめぐる季節の中で
魂との出合ひ

四十五段
【むかし をとこありけり……   】
良家のむすめ なんとか この男を親しくなりたい
でも 胸の内を打ち明けられず 思ひがつのり病気に
床の中で 「実はわたしは あの人のことを……」と
乳母に漏らした
母親 聞きつけ その男に告げる
男 思いがけぬことで うろたへ駆けつけたのであつたが
むすめ すでに亡き人に

男 むなしく喪にこもつてしまふ
ちようど折りしも 時節は六月晦日のころ
亡き人を弔{とぶら}うための楽を奏でてゐて
夜がふけるにつれて 蛍が光を引いて高く飛び上がってゆく
男 それを見て詠んだ歌

【ゆく蛍 雲のうへまでいぬべくし
    秋風ふくと雁に告げこせ】
 (在原業平 「続古今」)

「飛んでゆく蛍よ お前がそうして雲の上までゆけるのだつたら
下界では もう秋風が吹いてゐる
早く帰つておいでと 雁に告げておくれ」
六月晦日の時節 魂の行き合ふとき
光の尾を引いて空にのぼつてゆく蛍
去りゆく魂そのもの
雁 新しく到来する魂の姿

想いを告げことなく世を去つた むすめへの挽歌

最近の科学
蛍が光るのは 敵を防ぐため
魂 関係ない
なんと風情の無い科学よ
2023/04/11(火) 晴れ


月に代はつて


奈良京か平安京か 定かでない
朝廷 國の重大事 決定をする時刻
太陽が昇る直前とした

大陸からの迷信か定かでない

十年以上前から
起床 四、五時
コレ 迷信ではない 
と云ふ気がしてきた
漠と思念
頭 冴へる

≪いろごのみ≫
さらに さらに 古い記録ではなく 
伝承 神話
≪いろごのみ≫ 女の特性

イザナギ イザナミ 二神
はじめに「あなにやし 愛{え}をとこを」
「いろ夫{せ}」を選び定めて
≪いろごのみ≫を宣言したのは
イザナミの神

いつしか 大陸 唐風に染まり
「女人{をみな}の先だち云へるは不良{ふさわず」
男 いつしか 逆の順に変へた 

日ノ本アニメ 代表的ヒロイン
『美少女戦士セーラームーン 』
三十年経つても不滅
キリスト教文明圏 いまなほ人気
『Magical Girl/魔法少女』ジャンル 生まれる
キリスト教の魔女とはベツモノ

「地球を見守るという月の王国の使命を果たすため
月に代はつて お仕置きよ! 」
神に代はつて仕置きできるのは 女だけ
2023/04/10(月) 晴れ


日ノ本アニメ


この『いろごのみ』
さらに 古い記録
もつぱら男の特質
「いろごのみの神」
「いろごのみの天皇」
「いろごのみの皇子」
神話や物語 多く
『古事記』『日本書紀』『万葉集』にもある

万葉集 第一巻 巻頭
雄略天皇 春の野の求婚歌
記・紀 に伝へる
神武天皇の高佐士野{タカサジノ}の求婚の歌
仁徳天皇  雄略天皇などにまつわる数々の求婚の歌

後世の戰國の世の武将 江戸の世の豪商
欲情をあらはにした好色とは違ふ

人の生の根源の活力に感染を及ぼす
本来の≪いろごのみ≫
神話からのハナシ

日ノ本アニメ 世界を席捲する
≪いろごのみ≫の神
西洋神話にもChina神話にも出てくる

日ノ本アニメ 世界を席捲するわけは
この≪いろごのみ≫

日ノ本で これに気づいているの
拙者と わずか数人(呵々)
2023/04/09(日) 晴れ


いろごのみ


二十八段
【むかし いろごのみなりけり女 出てていにければ
などてかく あふごかたみになりにけん
水もらさじと結びしものを】
<むかし 「いろごのみなりけり女」が
一緒にいた男の家を出てしまつた
男 一体どうしてこんなに逢ふことがちぐはぐな
むつかしい間柄になつてしまつたのだらう
お互いに 水ももらすまいと契りあつたものを>

『いろごのみ』
世の流れとともに その意味を大きく変へていつた古語
古いやまとことばに「色好み」との漢字を当てるようになり
さらに「好色」と云ふ漢字を連想することで
その意味は大きく変わる

「いろ」との古語
「いろせ=いろ夫」
「いろと=いろ人」
「いろね=いろ姉」
「いろも=いろ妹」
特に親密な間柄の人を云ふ言葉
さらに「このむ」との古語
数ある対象の中から
もつともふさわしものを選ぶこと

本来の「いろをこのむ」とは
数ある対象の中から一番ふさわしくすぐれた
異性(男・女)を選ぶことであつた

【いろごのみなりけり女】
主人公にとつて
数ある対象の中から一番ふさわしくすぐれた女であつた

いろいろ雑用 飛び込んできた
つづきはあす

※「つづきはあす」と云つておゐて
  きのふ UP忘れてしもた

2023/04/08(土) 曇り


手紙は舟にのつて


武州多摩から
“鳥も通わぬ八丈島”
手紙 翌々日に着
(天候 良ければければ)

二十六段
主人公 引きさかれてしまつた恋人に
嘆きの手紙を出した
その返事(歌)
「おもほえず 袖にみなとの さはぐ哉
   もろこし舟の よりし許{ばかり}に
<思いかけず もろこし(唐)の舟が港に来たの
港が大騒ぎになつてゐます>

当時の常識
遠方の諸国との手紙のやりとりは船便
「港に舟が寄る」とは手紙の到来を意味した
そして 当時のビックニュース 
カモフラージュにつかつた

当時 唐や新羅の商人が商売するなら
大宰府の港“袖の湊”を通り 許可を得なければならないが
ところが 貞観{じょうがん}八年(860)
大宰府をスルーして瀬戸内海に入り  入京してしまつた唐人がゐた

このことを踏まえれば 返事の<意味>はかうだ
<思ひがけず 唐船のような特別な
遠い存在のあなたの手紙をいただけたばかりに
私の心はざわざわと騒ぎ 涙いたします>

関所で検閲されること想定してたから
表向きは舟のことを話題にして
禁じられた恋を告げる

当時のコモンセンス 男女の恋のせつなさ
NHK なんだつけ さう『光る君へ』
大丈夫かな
さう 『どうする家康』 ひどいさうだ
2023/04/06(木) 晴れ


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